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  • 2025.9.9(最終更新日:2025.10.12)

    <施工管理>単線結線図の基礎解説

    単線結線図とは、電気回路の全体像を示す図面で、変圧器や遮断器などの機器を記号で、配線を一本の線で表現し、回路の接続関係を簡潔にまとめたものです。全体の電気の流れや機器の配置を容易に把握できるため、電気設計や工事計画の際に使われ、「スケルトン」や「単結」とも呼ばれます。
    単線結線図は回路の概要を示すのに対し、実際の電線やケーブルの本数まで詳細に記載したものが「複線結線図」です。単線結線図を基に複線結線図を作成することで、具体的な配線作業のミスを防ぎ、正確な工事を行うことができます。 

    ここでは、高圧受電設備の単線結線部の一例を基に、主な機器の名称、機能の要点を学習していきます。

    高圧受電設備の単線結線部

    各機器の名前と機能

    (1)地絡継電装置付高圧交流負荷開閉器(GR付PAS)

    Ground Relay付 Pole Air Switch
    電力会社との責任分界点の区分開閉器として設置され、保守点検時の安全確保や需要家内施設での地絡事故発生時の他需要家への事故拡大を防止する。

    (2)電力需給用計器用変成器(VCT)

    Voltage and Current Transformer
    需要家が使用した電力量を積算し表示するために、計器用変圧器と変流器を一つの箱に組み込んだもので、変成された電圧と電流を電力計へ送り出す機器。

    (3)断路器(DS)

    Disconnecting Switch
    高圧と特別高圧の電路に、機器の保守点検時や回路の切り替え変更の際に使用され、負荷電流のない状態で電路を開閉するための機器のこと。

    (4)高圧交流遮断器(CB)

    Circuit Breaker
    交流電路に使用し、通常時の電路のほか、短絡状態の電路も開閉できる装置。

    (5)避雷器(LA)

    Lightning Arrester
    雷などによる衝撃過電圧を大地に放電することにより、電気設備の絶縁を保護し、通常の状態に自動的に復元するもの。

    (6)高圧限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器(PF付LBS)

    Power Fuse付Load Break Switch
    高圧限流ヒューズと高圧交流負荷開閉器を一体に組み合わせた機器で、限流ヒューズ部では過電流と短絡電流を遮断し、負荷開閉器部では、負荷電流の開閉を行う。

    (7)直列リアクトル(SR)

    Series Reactor
    高圧進相コンデンサの高周波電流による障害の防止とコンデンサ回路の開閉による突入電流抑制を行う。

    (8)高圧進相コンデンサ(SC)

    Static Capacitor
    力率改善、電圧調整等の目的で、送配電系統の交流600Vを超える回路で負荷と並列に接続して使用するコンデンサ。

    略語の語呂合わせ
    グランド付いてパスかなと思ったけど(GR付PAS)
    ボルトとカレントをトランスしたら(VCT)
    断じる恋のスイッチ(DS)
    サーキットをブレイクして(CB)
    LAで雷に打たれながら(LA)
    ヒューズ付のラブスイッチ(PH付LBS)
    SRに乗って(SR)
    君とショッピングセンターへ(SC)


    単線結線図は、電気設備の全体構成を一目で把握するための基本図です。図面の意味を理解し、実際の設備とのつながりを意識することで、確実な施工とトラブル防止に役立てましょう。