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  • 2023.11.27(最終更新日:2023.12.7)

    電気通信事業法とは?用語の定義や秘密の保護について解説

    電気通信事業法は、「電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り、公共の福祉を増進すること」(法1条)を目的として、1984年に成立した法律です。

    インターネットが普及したと言われる1994年前後よりも以前に成立し日進月歩で導入される新しい技術に合わせて継ぎ足しされたことで、法律全体の構造や適用関係を理解するのが難しい法律と言われています。
    参考:「電気通信事業法について/2018年10月総合通信基盤局」

    用語の定義

    用語 定義
    電気通信 有線、無線などの電磁的方式で、符号、音響、映像を「送り、伝え、受けること」
    ※「転送」は含まれない。
    電気通信設備 電気通信を行うために必要な設備のことで、送信の場所と受信の場所との間を接続する「伝送路設備」及びこれを一体として設置される交換設備とその付属設備
    ※事業者側の「電気通信回路設備」とユーザー側の「端末設備/自営電気設備」の境界を「分界点」と呼ぶ
    電気通信回路設備 送信場所と受信場所を接続する「伝送路設備」や「交換設備」とこれらの付属設備
    端末設備/自営電気設備 ユーザー側の設備
    電気通信事業 電気通信役務を他人の需要に応ずるために提供する事業
    電気通信事業者 総務大臣の登録および総務大臣に届け出などの所定の手続きを経た者
    電気通信役務 電気通信を使ったサービスのこと
    音声伝送役務 約4キロヘルツの音を伝送交換する機能を有する「電気通信設備」を他人の通信の用に供する電気通信役務のことで、「データ伝送役務」以外のもの
    データ伝送役務 符号や映像を伝送交換するための電気通信設備を他人の通信の用に供する電気通信役務
    専用役務 特定の者に電気通信設備を専用させる電気通信役務
    特定移動通信責務 特定移動端末設備と接続される伝送路設備を用いる電気通信役務

    秘密の保護

    電気通信事業者の秘密の保護電気通信事業者は、在職中も退職後も知り得た他人の秘密を守る必要があります。
    電気通信事業者がこの秘密を侵した場合は、3年以下の懲役または200万円以下の罰金に処されます。(電気通信事業者に従事する者以外の場合は、2年以下の懲役または100万以下の罰金)電気通信事故への対応2022年7月に、KDDIで3,091万人以上に影響を及ぼす大規模な通信障害がありました。

    参考「電気通信事故検証報告書/令和4年10月電気通信事故検証会議」
    このような電気通信事故は、電気通信責務の区分別に報告対象の事故の継続時間と影響利用者数が定められています。
    重大事故
    ・加入電話、携帯電話、公衆電話等の緊急通報を取り扱う音声伝送役務
    ・3万人以上に影響
    ・1時間以上継続
    四半期報告事故
    ・3万人以上に影響
    ・2時間以上継続

    電気通信主任技術者とは?

    事業用電気通信設備の工事、維持、運用を監督させるため電気通信事業者によって選任された者のことで、原則として電気通信主任技術者資格証の交付を受けた者から選任する必要があります。

    電気通信主任技術者資格者証を得るには、伝送交換主任技術者試験または線路主任技術試験に合格し資格認定を受けた3か月以内に資格申請を行う必要があります。また、資格証を受けた者が電気通信事業法に違反した場合、総務大臣は資格証の返納を命ずることができ、命じられた者は10日以内に資格者証を総務大臣に返納する必要があります。

    電気通信事業者による電気通信事業法の順守は、法的な要件だけでなく、ユーザーとの信頼関係や市場での健全な競争を維持するためにも極めて重要です。事業者は法令を遵守することで、持続可能で安定した事業運営を実現し、通信サービス提供において社会に貢献することが期待されます。