トピックス
-
2025.3.1(最終更新日:2025.4.28)
<施工管理>発電と変電、送電と電源を学ぶ
ここでは、電気・電気通信工事施工管理技士試験にも出題される、「電気工学の基礎~電源の種類と特徴」について解説します。
電気・電気通信工事施工管理技士は国土交通大臣の指定機関が実施する国家試験の合格者に与えられる国家資格です。電気・電気通信工事施工管理技士には、工事の現場で施工計画・工程管理・安全管理・技術者の監督など電気通信工事の施工管理に関わる幅広い知識が求められます。
私たちの日常生活に欠かせない電気。発電や変電、電源の仕組みについて学習しましょう。
発電の役割
電気は、発電所で作られます。発電所は、電気以外のエネルギーを電気エネルギーに変換し、電気の需要変動に応じて系統周波数を一定に保つため、出力調整を行う等の役割があります。
発電系統の需要を計る用語と計算式には、以下のようなものがあります。需要率=最大需要電力〔kW〕÷設備容量〔kW〕x100%
不当率=各需要家の最大需要電力の総和〔kW〕÷その系統の合成最大需要電力〔kW〕
負荷率=期間中の負荷の平均需要電力〔kW〕÷期間中の負荷の最大需要電力〔kW〕x100%
利用率=実際の発電電力量〔kW・時〕÷定格出力〔kW〕÷暦時間x100%発電所には様々な種類がありますが、主に火力発電所、原子力発電所、水力発電所、風力発電所などがあります。いずれもエネルギー源を使って、発電機を回し、電気を生み出しています。
水力発電
水力発電は、主にダムを使って発電しています。ダムと水路を組み合わせて発電する方式をダム水路式と言い、ダムで貯めた水を水路で下流に導き、落差を大きくして発電する方式です。水車の使用水量を急激に変化させた場合、「水撃作用」が発生し水圧管を破裂させる恐れがあります。水撃作用には、次のような対策が取られています。
①水車入口弁の閉鎖時間を長くする。
②水圧管の流速を遅くする。
③水圧管の長さを短くする。
④圧力水路と水圧管の間にサージタンクを設ける。
※水撃作用対策は、管を長く、時間を短く水力発電のダムの種類
重力ダム
コンクリートの自重を利用して、水圧等の荷重に耐えるダム
アーチダム
コンクリートで造られ、水圧などの外圧を主に両岸の岩盤で支える構造で、両岸の幅が狭く岩盤が強固な場所に作られたダム
(参考:富山県「黒部ダム」)
バットレスダム
上流側に壁を造り、バットレスと呼ばれる鉄筋コンクリートの垂直な壁を下流側に並べて支える構造のダム
アースダム
細い粒上の不透水材料で構成され、下流側にドレーンを配置したダム
ロックフィルダム
フィルダムの上流面にアスファルト、鉄筋コンクリートなどによって作られた壁を有するダム
水力発電の水車の役割
水車は、水の持つエネルギーを運動エネルギーに変える回転機械で、発電機を直結して発電します。水車には、動作原理により衝動水車と反動水車に分類されます。
衝動水車
圧力水頭を速度水頭へ変えた流水をランナに作用させる構造の水車のこと。代表的なものとして、ペルトン水車があります。
反動水車
水の持つエネルギーを運動エネルギーへ変えて羽根に作用させ、半動力を利用して回転させる水車のこと。代表的なものとして、フランシス水車、プロペラ水車があります。
水車発電機
水車によって駆動する発電機を水車発電機といいます。水車発電機は構造上、横軸型と縦軸型に分類されます。
水車発電機の特徴
・横軸型は、小容量高速機に適している
・縦軸型は、大容量低速機に適していて、スラスト軸受が設置されている
・短絡比は、上記タービン発電機より大きい
・円筒形に比べ回転速度が遅い究極形の回転子が用いられる火力発電
火力発電とは、石炭や石油等の熱エネルギーを利用して発電するものをいいます。火力発電には、原動機の種類や熱への変換システムの組み合わせにより、ボイラ等で発生した蒸気によって蒸気タービンを回して発電する汽力発電やガスタービン発電等があります。
タービン発電機による火力発電の特徴
・水車発電機に比べて、回転速度が速い
・大容量機では、水素冷却方式が採用される
・回転子は、非究極回転界磁形が用いられる。
・軸型式は、横軸型が採用される。火力発電の環境対策
火力発電所の燃焼ガスによる大気汚染を軽減するために、下記の機器、装置が主に使用されます。
・脱硫装置・・・排ガス中の硫黄酸化物を取り除く
・脱硝装置・・・排ガス中の窒素酸化物を取り除く
・電気集じん器・・・電界の作用によりばいじんを電極上に捕集する汽力発電
汽力発電とは、石油や石炭、天然ガスなどの燃料を燃やして発生させた蒸気の力でタービンを回し、発電機で電力を生み出す方式の発電方法です。
汽力発電設備で使用される発電用ボイラは、水の循環により、「貫流ボイラ」、「自然循環ボイラ」、「強制循環ボイラ」に分類されます。強制循環ボイラの仕組み
節炭器
煙道ガスの余熱を利用してボイラ給水を加熱し、ボイラ効率や燃焼効率を高める装置
空気余熱器
煙道ガスで燃焼用空気を加熱して燃焼効率を向上させる装置
蒸気ドラム
水分と飽和水蒸気を分離して、注水する装置
再熱器
高圧タービンで仕事をした蒸気を中低圧タービンで使用するために再加熱した装置
復水器
タービンの排気蒸気を冷却凝固するとともに水として回収する装置。復水器の内部圧力を低くすると、排出熱エネルギーが小さくなる熱効率が向上する。
蒸気の再生サイクルの仕組み
蒸気の再生サイクルは、蒸気タービンから膨張途中の蒸気の一部を抽気し、その熱を使って給水を加熱することで、熱効率を向上させる仕組みです。復水器で冷却水に捨てられる熱量を減らし、ボイラーで必要な熱供給量を減らすことができるため、理論熱効率が向上します。
太陽光発電
太陽光は鵜殿設備では、建物の屋根等に設置する太陽電池により発電します。太陽光のエネルギーを電気エネルギーへ変換するため省資源に有効ですが、気象条件の影響を受けるため、出力変動が大きいというデメリットがあります。
太陽光設備の施工
・積雪地域では、太陽電池アレイが遮蔽されることを防ぐため、アレイの傾斜を大きくしたり、架台を高くするなどの融雪対策が必要になる。
・感電防止のため、配線作業前に太陽電池モジュールの表面を遮光シートで覆う。
・太陽電池モジュールの温度上昇を抑制するために、屋根と太陽電池アレイの間に通気層を設ける。
・雷雨多発地域では、交流電源側に耐雷トランス(シールド付き絶縁トランス)を設置する。変電所の役割
発電所で作られた電気は、経済的な電圧に変成して変電所へ送られます。
変電所の主な役割
①送配電電圧の昇圧または降圧を行う。
②電力を有効に利用できるよう電力の流れを調整する。
③事故点を電力系統から切り離して事故の波及を防ぐ
④調相設備により送配電系統の無効電力の調整を行う。変電所の構成機器
変電所は、主に下図の装置により構成されています。
参考「東京電力 変電所」
変圧器(トランス)
変電所の中核装置で、発電所から送られた電圧を目的の電圧に変換する機器のことで、使用される絶縁材料によって、ガス絶縁変圧器、油入変圧器、モールド変圧器などの種類があります。
変圧器は、意図しない場所への電流の侵入を防ぐための絶縁と、変圧器内での電力損失によって生じる熱を冷やすための冷却装置などが備え付けられています。冷却方法には、油入自冷式、油入風冷式、送油自冷式、送油風礼式等の種類があります。変圧器由に要求される特性
・絶縁耐力が高い
・冷却作用が大きい
・粘度が低い
・凝固点が低い
・引火点が高い変圧器の損失には、鉄芯で発生する「鉄損」と巻線で発生する「銅損」があります。
変圧器の損失の特徴
・鉄損は、負荷電流に関係なく一定である。
・鉄損は、過電流損が含まれる。
・周波数及び電圧が一定の場合、鉄損は負荷電流に関係なく一定であるが、銅損は負荷電流の2乗に比例する。変圧器からは、一定の騒音と振動が発生します。変圧器の騒音には、磁力ひずみなどで鉄心に生じる振動による「励磁騒音」や、巻線間に働く電磁力で生じる振動による「通電騒音」があります。
騒音対策として、鉄心に高配向性けい素鋼板を使用することや、鉄心の磁束密度を低くすることが有効です。遮断器
変電所において遮断器は、電気の行き先を決めたり故障などのときに自動的に電気を止めたりするためのスイッチの役割を果たします。遮断器には、電流を遮断する方式により、空気遮断器、ガス遮断器、真空遮断器の種類があります。
空気遮断器・ガス遮断器の特徴
・空気遮断器は、アークに圧縮空気を、ガス遮断器は、不活性ガスをアークに吹き付けて消弧する
ガス遮断器は、空気遮断器と比べて、
・小電流遮断時の異常電圧が小さい
・開閉時の騒音が小さい
・耐震性に優れている真空遮断器の特徴
・高真空中での高い絶縁耐力と強力なアークの拡散作用によって消弧する
・高真空状態のバルブの中で接点を開閉する
・交流回路に使用して負荷電流の開閉を行う
・長寿命で、真空バルブの保守がほぼ不要
・保守点検が容易
・一般に外部信号を受けて遮断する(自ら検知して遮断はしない)
・定格遮断電流以下の短絡電流を遮断することができる断路器
断路器は、無負荷時の回路の開閉や、系統の接続変更をするために使用します。一般的に電流の流れている回路の開閉はできません。
計器用変圧器
高電圧を低電圧へ変換するための装置で、高電圧回路から計器等に必要な電圧を取り出すために使用されます。巻線形とコンデンサ形があります。
計器用変成器
計器用変成器は、交流回路の高電圧、大電流を低電圧、小電流に変換する機器で、計器用変圧器(VT)及び変流器(CT)の総称です。
計器用変成器は、一時側に電圧をかけた状態で二次側を短絡してはならず、変流器は、一次側に電流が流れている状態で二次側を開放してはいけません。
高圧計器用変成器の取り扱い
・計器用変圧器(VT)は、二次側の1線を接地する
・計器用変流器(CT)は、二次側を開放してはいけない、また二次端子の接続を誤ると、発生する異常電流により保護継電器の誤作動に至る
・零相変流器(ZCT)は、三相分の電線を一括して変流器に貫通させる避雷器
避雷器には、非直線抵抗特性に優れた酸化亜鉛形のものが多く使用されています。
屋外変電所の対外対策は、「屋外鉄溝上部に架空地線を設ける」、「避雷器を架空電線の電炉の引込口と引出口に設け、A種接地工事をする」等が有効です。
避雷器は、遮断器などの電力系統の保護システムの構成機器には該当せず、雷等の過電圧が一定の値を超えた時、放電することで過電圧を制限し電気設備を保護する役割を持ちます。電力用コンデンサ
遅相無効電力を供給し、無効電力を極力少なくなるように調整して、送配電系統の電圧低下を軽減させます。
過電圧継電器
発電機等の故障による系統電圧の上昇を検出し、負荷側の系統や機器を保護します。(雷対策ではない)
分路リアクトル
交流回路に対して並列に接続し、負荷の進み電流を補償して無効電力を制御します。分路リアクトルのほかに、無効電力の制御を行うための機器として、「負荷時タップ切替変圧器」、「同期調相機」があります。
開閉器
負荷電流や過負荷電流程度の開閉を目的として変電所で用いられるものに開閉器や負荷開閉器があります。負荷開閉器は、定格電流までの負荷電流の開閉性能を持ちますが、遮断器と違い短絡時の事故電流の遮断はできません。
高圧配電線路において、事故発生時にその区間だけ配線線路から切り離す必要があるため、配線線路の途中に区分開閉器を設置し、このうち柱上に設置するものを「柱上高圧開閉器」といいます。変電所の中性点接地方式
接地とは、電線管や金属製の外箱、電気回路の中性線などを大地に接続する電気工事のひとつです。大地は非常に安定した電位を持っているため、大地と接続することで電位を安定させることができます。
変電所における高圧配電線路で一般的に使用される接地方式として、中性点接地方式があります。中性点接地方式の種類には、非接地方式、抵抗接地方式、直接接地方式があります。非接地方式
高圧配電線路で一般的に採用している接地方式。距離が長くなると、一線地絡時に異常電圧を発生します。
抵抗接地方式
抵抗を通して中性点を接地する方式で、高抵抗接地方式、低抵抗接地方式に分けられます。中性点の抵抗で1線地絡時の地絡電流を抑制します。
直接接地方式
1線地絡時の健全相の電圧上昇が最も小さい接地方式。電線路や変圧器の絶縁を軽減できますが、地絡電流が大きくなり、通信線への誘導障害が発生する欠点があります。
通信線の誘導障害を軽減するには、中性点接地方式に高抵抗接地または消弧リアクトル接地を採用し、地絡事故時に中性点に流れる電流を抑止することが効果的です。変電所の母線結線方式
変電所の母線は、生成された電気を、変圧器や遮断器などの機器を介して、配電網に送るための重要な導体です。
単母線方式
もっとも単純な母線方式で、所要機器やスペースが少なくて済むが、母線事故が起きた際は全停電となります。
二重母線方式
上位系統の変電所で採用され、機器の点検や系統運用が容易な結線方式です。
送配電設備
発電所と変電所間、変電所相互間を結ぶ電線路と付帯する設備を送電線路といいます。送電線路は、抵抗、インクダンス、静電容量、濡れコンクダンスの4つの定数をもつ連続した電気回路です。
送電線路には、架空送電線路と地中送電線路があります。
架空送電線路は、電線、がいし、支持物、架空地線などで構成されます。電線の種類
電線の種類 記号 主な用途 接地用ビニル電線 GV 架空電線の接地用 屋外用ビニル絶縁電線 OW 低圧架空配電用 引込用ビニル絶縁電線 DV 低圧架空引込用 引込用ポリエチレン絶縁電線 DE 低圧架空引込用 屋外用架橋ポリエチレン絶縁電線 OC 高圧架空配電用 がいしの種類
電線と支持物を絶縁するものをがいしといいます。
懸垂がいし
長幹がいし
ラインポストがいし
高圧ピンがいし
がいしの塩害対策
台風等によって塩分ががいしに付着することで絶縁性能が低下します。がいしの塩害対策には下記の3つが有効です。
①懸垂がいし等の連結個数を増加させ、対地間絶縁強度を上げる。
②がいしの表面にシリコンコンパウンドを塗布する。
③長幹がいしやスモックがいしを採用する。支持物等の種類
架空送電線路に使用する部材等には下記のような種類があります。
ダンパ
風による電線の破損防止のために電線に取り付ける
スパイラルロッド
電線の風騒音を防止するために電線に取り付ける
アーマロッド
懸垂クランプ部の電線の振動疲労による配線切れ防止や、自己電流による溶断防止策として、電線と同じ材質の金属を電線に巻き付けて補強する
スペーサ
強風による電線相互の接近や接触を防止する
カウンターウエイト
電線に付着した雪の成長を防止する
クランプ
電線を鉄塔に指示するための金具
コロナ放電
放電とは、電極間の電位差によって、間に存在する気体に絶縁破壊が生じることで電子が放出され電流が流れる現象のことをいいます。放電には火花放電、グロー放電、アーク放電、コロナ放電という種類があり、コロナ放電は、電圧がある値(コロナ臨界電圧)に達すると周囲の空気の絶縁が失われ、青白い光と独特なジージーという音を放って放電が始まる現象のことです。
コロナ放電の特徴
・多導体より単導体の方が発生しやすい
・晴天時より雨天時の方が発生しやすい
・ラジオ受信障害が発生する
・送電効率が低下する電動機
電動機とは、モーターとも呼ばれ、電気エネルギーを機械的エネルギー(主に回転運動)へ変換し、様々な機械や装置の動力となる役割を果たしています。電動機には、主に「直流電動機」、「交流電動機」、「ステッピングモーター」に分類されます。このうち、「交流電動機」は、比較的安価で大型化や大出力化に対応したモーターとして、家庭のエアコンや洗濯機にも用いられています。
交流電動機の主な種類
単相誘導電動機
単相交流電源で動作する誘導電動機で、家庭用家電製品や事務機器の駆動に広く使われています。三相誘導電動機に比べて始動トルクが弱く、効率も劣るため、主に小容量のものが多いです。
単相誘導電動機の始動法として、コンデンサ始動形、くま取りコイル形、分相始動型があります。かご型誘導電動機
三相交流電源を利用して回転磁界を発生させ、導体の両端をひっくるめて短絡した「かご型構造」のかご形回転子を利用した電動機です。
かご型誘導電動機のインバータ制御
・始動電流が小さくなる
・低速でトルクが出にくい
・速度を連続して制御できる
・速度が商用電源の周波数に左右されない
・電磁騒音が大きくなる
三相誘導電動機三相交流電源を利用して回転磁界を発生させ、その磁界に誘導されて回転する電動機です。主に産業機器や電気自動車などに広く使われています。
始動法として、Y-Δ始動法、全電圧始動法、始動補償器法が使用されます。三相誘導電動機の回転速度の特性
・同期速度より遅い
・電源周波数が低くなるほど遅くなる
・滑りが減少するほど早くなる
・固定子巻線の磁極数が多きなるほど遅くなる三相誘導電動機の保護をする電気制御機器に保護リレーがあります。保護リレーの機能には、過負荷保護、欠損保護、反相保護があります。短絡や漏電を保護する機能はありません。
1Eリレー:過負荷保護
2Eリレー:過負荷保護、欠損保護
3Eリレー:過負荷保護、欠損保護、反相保護電源設備
「電源設備」とは電力会社等より供給された電気を停電や緊急時にバックアップすることで機器・システム等の負荷を保護し安定稼働させる役割をもっています。 主な装置として、無停電電源装置(UPS)、直流電源装置などが挙げられます。工場、病院、学校、水処理施設など、万が一の停電も許されない環境に設置されています。
エンジン発電装置
ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの各種のエンジンを原動機にした発電機のこと。
ディーゼル機関発電装置
・燃焼ガスのエネルギーをピストン往復運動に変換する(音が大きい)
・ガスタービンエンジンと比較して、燃料消費量が少ない(ディーゼルの方が省エネ)ガスタービン発電装置
・液体燃料(軽油、灯油、A重油)と気体燃料(都市ガス、天然ガス)が使用できる
・ディーゼルエンジンに比べて構造が簡単で小さく保守が容易、冷却水が不要ガソリン機関発電装置
・往復運動内燃機関(ピストン往復)であり、ディーゼル機関に比べて複雑で故障率が高い
・消費電力の高い機器に対応でき騒音が少ないため、可搬型の予備電源として活用される自家用発電設備
電気の消費者が発電設備を用いて自ら発電を行うための設備のこと。事業用電気通信設備の停電対策として、自家用発電機の設置などが求められている。
常用発電機
通常利用される発電機のこと。電力会社からの電力供給が難しい場所や契約電力の削減を目的とする場合、一般的に常用の自家用発電設備が用いられる。
発電設備と負荷設備を、商用側の電源系統と連係する方式を「系統連系運転方式」といい、逆に切り離して単独で運転する方式を「自立運転方式」という。系統連系運動方式の方が、急激な負荷変動に対する電力品質が安定している。非常用発電機
停電時に利用される発電機のこと。防災目的の「防災用発電機」と業務継続のための「保安用発電機」に分類される。非常用エレベーター屋内消火栓用の非常用電源として、商用電源からの給電が停止した場合は、防災用の自家発電設備が使用される。
変圧器(トランス)
電力会社から供給される高電圧の電力を、ユーザーの建物内で使用する電圧に変換する機能のこと。
変圧器の分類 特徴 内鉄型変圧器 鉄心の周りに低圧巻線、その周りに高圧巻線が配置され、単一の磁器回路を有している。鉄損は小さく銅損は大きくなる。確実に絶縁できるため主に高電圧用に使用される。 外鉄型変圧器 鉄心の周りに低圧巻線と高圧巻線が交互に配置されている。鉄損が大きく銅損が小さくなる。絶縁に限界があるため主に定電圧用に使用される。 油入変圧器 巻線の絶縁と来客に絶縁油を使用している。長時間使用すると酸化し、絶縁性能が低下する。 モールド変圧器 巻線の絶縁材料にエポキシ樹脂が使用され、耐燃性が高いため防災に適している。 単相変圧器 単相交流を変圧する送電方法で、故障時に縮退運動が可能であるため信頼性が高い。 三相変圧器 三相交流を1台で変圧する伝送方式で、単位容量当たりの床面積を小さく重量を節約できる。 電力開閉装置
電力の開閉には開閉器と遮断器が使用される。
開閉器
低圧回路の自動切換え用に「電磁開閉器」、高圧回路用に「気中負荷開閉器」、「ガス負荷開閉器」などがある。
遮断器
異常時の過電流遮断時にも使用される。遮断器では、迅速にアーク放電を消滅させることが必要である。
電力変換装置
整流装置
交流(AC)を直流(DC)に変換する機械(部品)のこと。通信用電源には、リプル(リップル、電流の脈流)が小さい全波整流回路が使用される。
整流装置の種類 特徴 ダイオード整流器 出力直流電圧を制御する機能がなく、出力電圧が変動する。安定化のためにDC-DCコンバータ回路等を付加することがある。 サイリスタ整流装置 定電圧制御と定電流制御の機能を持つ。 高周波スイッチング整流装置 交流(AC)を直流(DC)へ返還した電流を高速スイッチングによりパルス波へ変換→変換器(トランス)で所要の電圧へ変換→整流・平滑を行い所要の力流電圧を得る。
PWM(パルス幅変調)方式:
出力電圧が上昇しようとするとパルスの幅を減少させ、低下しようとするとパルスの幅(※パルスの振幅ではない)を増加させ出力電圧を安定化させる。直流電源装置
直流電源装置は、変圧器、整流器、出力側フィルタ、整流器制御回路により構成されている(入力側フィルタは含まない)。直流電源装置は2つの方式で安定した出力電圧を得ています。
①スイッチングレギュレータ
入力の直流(DC)電圧を所望の直流(DC)電圧に「電圧変換」して出力することができます。 電子機器等において、バッテリなどから出力される電源電圧から、後続システムに必要な電圧をつくり出し「出力電力の安定化」の図ること。スイッチング素子を用いて入力電圧を断続することにより電圧変換を行い、スイッチング素子のオン時間とオフ時間の比を調整して、出力電圧の安定化を図る。②自励コンバータ型整流方式
電圧を、パワートランジスタ等で高周波のパルス波形に変換し、パルスの幅をPWM方式で制御して安定した出力電圧を得る方式のこと。UPS(無停電電源装置)
UPSは整流装置、蓄電池、インバータなどで構成されています。UPSの出力として要求される電圧波形は「正弦波形」に合わせて、インバータ回路では次の二つの方式で正弦波形化している。UPSの保守期間中でも、商用電力を負荷装置に直接供給できるようにするため、バイパス回路を具備した構成のものもある。
多重化インバータ方式
複数のインバータユニットの出力回路を並列に接続し、かつ、各インバータユニットの出力電圧に位相差を持たせて重畳することにより、インバータの総合出力電圧波形を正弦波に近づける方式であり、構成するインバータユニットの数が多いほど総合出力電圧波形は正弦波に近づく。PWMインバータ方式
多重パルス幅変調制御を用いたインバータで、振幅と周期が一定の複数のパルス列を作成し、パルス幅を変えることによって出力電圧を制御する。
電池
電池は、光や熱、化学反応などのエネルギーを、電気に変換する装置のことをいいます。電池には充電できない使いきりの一次電池と充電が可能な二次電池があり、ここでは主な二次電池の種類とその特徴について解説します。
鉛蓄電池
1セルあたりの起電力が2Vの電池で、正極に二酸化鉛、負極に鉛、電解液には希硫酸を使用します。放電すると水ができ、電解液の濃度が下がり電圧が低下します。
リチウムイオン電池
1セルあたりの起電力が3.7Vの電池で、正極に二酸化マンガン、フッ化炭素、塩化チオニル、負極に金属リチウム、電解液にリチウム塩を使用します。小型で液漏れしにくく、長時間の使用が可能です。