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  • 2024.4.23(最終更新日:2024.5.1)

    奥深い電気通信の世界/「放送機械設備」について解説

    放送設備とは、起動装置、表示灯、スピーカー、増幅器、操作部、電源及び配線により構成されたもののことを言います。ここでは様々な放送機械設備とその特徴について解説します。

    地上デジタルテレビ放送の特徴

    地上デジタルテレビ放送は、従来のアナログ方式と比べてより高品質な映像と音声を受信することができる新たな放送で、2011年に地上アナログ放送から完全移行されました。テレビ周波数チャンネルとして、13~52チャンネルのUHF帯が使用されています。デジタル変調方式として電波の反射等の妨害に強く移動受信が可能なOFDM(直行周波数分割多重)方式を採用することでゴーストが発生しにくい高品質な放送を可能にしています。

    地上デジタルテレビ放送では、信号を多重化・暗号化して放送しており、伝送中の誤りを訂正するため畳込み符号短縮化リード・ソロモン符号を付加しています。符号化にはMPEG-2と呼ばれる方式が使用されています。

    チャンネルの周波数帯域幅約6MHzを14等分したうちの13セグメントを画像、音声、データの情報伝送に使用し、残り1セグメントは隣接チャネルとの混信を防ぐガードバンドに使用し、標準放送(SDTV)であれば1チャネルあたり3本の放送が可能で、ハイビジョン放送(HDTV)の場合は1チャネルあたり1本の放送が可能です。

    CATVシステム(ケーブルテレビ・有線テレビ)の特徴

    CATVシステム(ケーブルテレビ)とは、有線テレビジョン放送のことであり、地域に根差したメディアとして地域情報や防災情報等公報の役割を果たしうる公共性の高い放送です。

    CATVの基本システムは「受信点設備、ヘッドエンド設備、伝送路設備、宅内設備」で構成され、地上デジタルテレビ放送の他、衛星放送や自主放送などの信号をヘッドエンド設備から伝送路設備に送出し放送しています。

    CATVの伝送方式
    ・HFC方式(Hybrid Fiber Coaxial)

    CATV局から視聴者宅までの区間を光ファイバと同軸ケーブルでハイブリッドで構成する方式

    ・FTTH方式(Fiber To The Home)

    CATV局から視聴者宅までの全区間を光ファイバケーブルで構成する方式

    ・リマックス方式(Re-Mux/Multiplex:再編成-多重化)

    配信された信号を復調して番組を取り出し、番組の再編成などの再多重などの処理を施してケーブルテレビ伝送路に適した変調方式で伝送する方式

    CATVでの地上デジタルテレビ放送の伝送方式
    ・パススルー方式

    受信した電波を変調方式を変えずに視聴者宅までそのまま伝送する方式で、同一周波数パススルー方式のほか周波数変換パススルー方式がある

    ・トランスモジュレーション方式

    ケーブルテレビ局で受信した地上デジタルテレビ放送や衛星放送の電波を復調し、ケーブルテレビ伝送路に適した6MHz帯域の64QAMまたは256QAMなどの変調方式に変換して視聴者宅まで伝送する方式(視聴者側ではセットトップボックス(STB)と呼ばれるCATV受信機で放送を受信し復調する)

    液晶ディスプレイの特徴

    液晶ディスプレイは、液晶を透明電極で挟み、電圧を加えると分子配列が変わり、光が通過したり遮断したする原理を利用したもので、カラー表示は透明電極の外側に取り付けたカラーフィルターにより画素ごとにRGBの三原色を作ることで行います。液晶自体は発光しないためLEDや蛍光管によるバックライトから放出された光が液晶を通過することで文字や画像を表示させます。
    液晶ディスプレイの液晶は、液体のように流動性を持ちながら個体のような結晶構造が認められる中間の状態を取る有機物分子である液晶の性質を利用したものです。

    有機ELディスプレイの特徴

    有機素子が電気的なエネルギーを受けると、電子の状態が変化し、電子が「励起(れいき)状態」から「基底状態」に戻る時にエネルギーの差分が光として放出されます。この現象を利用したものが有機ELディスプレイです。有機ELディスプレイは、応答速度が速く視野角が広いという特徴があります。また、素子自体が発光して映像を映し出す「自発光型」で液晶ディスプレイのようなバックライトが不要となるため、軽量化、薄型化が可能で、基盤をフィルム状のプラスチックにすると曲げることが可能になります。

    マイクロホンの特徴

    放送や記録のために音や声を電流に変える装置のことを「マイクロホン」といいます。

    ・ダイナミックマイクロホン

    永久磁石の磁界中に振動板に繋げた可動コイルを入れたマイクロホンで、音圧で振動板を振動させるとコイルに起電力が発生することを利用したもの

    ・コンデンサマイクロホン

    振動板を挟んで両側に固定電極を配置したマイクロホンで、音圧で振動膜を振動させると電極間の静電容量が変化することを利用したもの

    ・リボンマイクロホン

    アルミ箔などの薄い金属媒体を磁極の間に配置したマイクロホンで、音圧で金属媒体(リボン)を振動させると起電力が発生することを利用したもの

    ・カーボンマイクロホン

    2枚の電極でカーボンを挟んだマイクロホンで、音圧で振動板を振動させるとカーボンの接触抵抗が増減することを利用したもの

    スピーカの特徴

    電気信号を音に変える装置のことを「スピーカ」といいます。

    ・ダイナミックスピーカ

    永久磁石の磁界中可動コイル(ボイスコイル)を置き、このコイルに信号電流を流すと電磁力によりコイルが前後に動き振動板が振動し、振動が空気に伝わり音になる

    ・コンデンサスピーカ

    銅電線を持たせた振動板と固定電極の間に直流バイアス電圧をかけておき、入力信号を加えるとその変化に応じて振動板と固定電極の間の電荷が変化し、その電荷の吸引力の変化により振動板が振動することで音を発生させる

    ・圧電スピーカ

    ピエゾ効果を利用してスピーカの振動板に直接圧力を掛けて駆動することで音を発生させる

    ・マグネチックスピーカ

    U字型磁石の間にボイスコイルとそのボイスコイルの中を突き通っている可動鉄片で構成される。入力信号を加えると、その変化に応じてコイルに磁界が生じ可動鉄片が振動することで音を発生させる。


    監視カメラは映像を記録する設備ですが、カメラ内蔵のマイクや外部マイクと接続し、映像と合わせて音声の記録も可能です。ライブや録音した音声は映像と一緒にモニター付属のスピーカーで視聴します。接客対応の記録など防犯対策以外の活用にぜひご検討ください。