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  • 2024.3.17(最終更新日:2024.5.9)

    現場代理人?主任技術者?/建設業法と建設業にかかわる人たちについて解説

    建設業許可

    軽微な工事以外の建設工事を請け負うには、請負業者は「建設業許可」を受ける必要があります。建設業許可は、所在地と下請発注金額により区別があります。
    令和5年1月1日より、建設業法施行令の一部に改正があり、特定建設業の許可や監理技術者の配置が必要となる下請代金額、監理技術者等の専任を要する請負代金額等の引き上げ並びに技術検定制度の見直しがありました。
    ▶建設業法施行令の一部に改正について

    営業所の所在地による建設業許可の違い

    建設業を営む営業所が、ひとつの都道府県のみの場合は「知事許可」、ふたつ以上の都道府県にある場合は「国土交通大臣許可」となります。
    ※同一法人で両方を同時に取得することはできません。

    下請代金による建設業の違い

    下請代金により、「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の2つに区分されています。
    <一般建設業許可が必要な場合>
    元請として受注・・・下請代金が4,500万円未満の場合
    下請として受注・・・軽微な工事以外を行う場合
    <特定建設業許可が必要な場合>
    元請として受注・・・下請代金が4,500万円以上
    ※元請でなければ、再下請代金が4,500万円以上であっても一般建設業許可で良い
    ※下請委託せずすべて自社工事する場合は、受注額が4,500万円以上であっても一般建設業許可で良い

    建設工事にかかわる人たち

    ○現場代理人

    現場代理人とは、契約上の受注者に代わって、工事現場を取締り、契約の解除を除く工事の施工に関して一切の権限を行使し、注文者とのやりとりなどを行う者のことを言い、工事現場における司令塔のような役割を果たします。
    とは言え、現場代理人の配置義務には法律上の定めはなく、配置する場合には、その権限について書面で通知するという通知義務しかありません。
    ただし、公共工事の場合は、公共工事標準請負契約約款により現場代理人の設置が求められます

    主任技術者

    主任技術者とは、施工の技術上の管理・監督をする者のことで、主な業務は、施工計画の作成と工程管理、品質管理、安全管理です。
    請負金額を問わず、建設業許可を持っている建設業者が行うすべての工事現場に配置が義務付けられています。
    主任技術者になるには、担当する工種に応じた1級・2級国家資格を持っているか、一定期間以上の実務経験を積むなどの要件を満たす必要があります。

    自社が請け負った工事の一部を下請に再発注した場合、自社の人間がその下請けが行う工事の主任技術者を兼ねることはできません。(例:元請として建築一式工事を請け負ったが、電気通信工事のみ下請へ再委託した場合、元請が電気通信工事の主任技術者を兼ねることはできない)

    監理技術者

    下請代金が4,500万円以上の工事の場合は、元請の会社は主任技術者に代わり監理技術者を配置しなければなりません。つまり、下請代金が4,500万未満なら主任技術者、4,500万以上なら監理技術者の配置が必要になります。監理技術者の方が求められる資格が難しくなります。
    ※下請委託せず、元請が自社で工事する場合は主任技術者で良い
    ※主任技術者・監理技術者・現場代理人を兼務することができます。

    専任の主任技術者・非専任の主任技術者

    公共工事の4,000万円以上の工事は、工事現場に置く主任技術者は専任の者でなくてはらなない。(必ずしも常駐しなくてもよい)

    営業所専任技術者

    専任技術者は営業所での内勤で、請負契約の適正な締結や履行を技術面から支える仕事。 主任技術者は工事現場で働く外勤で、個別の工事の進行管理や安全管理を行う現場監督です。 原則的に専任技術者は現場で主任技術者として働く事はできません。

    事業所の安全にかかわる人たち

    労働者の人数により安全衛生についての管理責任者を選任する必要があります。選任すべき事由発生から14日以内の選任が必要です。

    安全衛生推進者

    労働者が10人~49人の現場の安全衛生管理の管理者

    衛生管理者・安全管理者・産業医

    労働者が50人~99人の現場の安全衛生管理の管理者

    統括安全衛生管理者

    労働者が100人以上の現場の安全衛生管理の統括管理者、そのほかに衛生管理者・安全管理者・産業医を選任する必要がある

    元方安全衛生管理者

    下請が混在している常時50人以上の労働者では、統括安全衛生責任者と元方安全衛生管理者を選任する必要がある

    安全衛生責任者

    統括安全衛生責任者が選任された現場では、下請が安全衛生責任者を選任する必要がある

    店社安全衛生管理者

    統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者、安全衛生責任者の選任が義務付けられていない中小規模の建設現場で、現場代理人等への安全衛生への指導を行うために専任される(大卒または高等専門学校卒で、3年以上安全衛生実務の経験を要する)
    覚え方メモ:A(安全衛生責任者)・K(管理者)・T(統括安全衛生責任者)49

    特別な作業にかかわる人たち

    作業主任者

    労働災害を防止するために、作業によって作業主任者を選任する必要がある

    作業主任者の選任が必要な主な作業

    ・マンホール内などの酸素欠乏危険場所における作業
    ・土止め作業
    掘削面2m以上の掘削
    高さが5m以上の足場の組立て・解体作業
    高さ5m以上のコンクリート造の解体作業
    ・石綿等取扱作業・石綿製造作業

    免許・技能講習・特別教育が必要な主な作業

    一定の危険・有害な業務に労働者を就かせるときは、事業者は、その業務に関する安全または衛生に関する特別の教育を行わなければなりません(労働安全衛生法第59条第3項(特別教育))。
    また、特に危険・有害な業務については、免許や技能講習など必要な資格を有する者でなければ、その業務に就くことが禁止されています(労働安全衛生法第61条(就業制限))。
    ・高所作業車の運転
    作業床10m以上:技能講習/10m未満:特別教育
    ・クレーンの運転
    荷重5t以上:免許/5t未満~1t以上:技能講習/1t未満:特別教育
    ・玉掛け業務
    荷重1t以上:技能講習/1t未満:特別教育
    ・低圧・高圧・特別高圧電気の取り扱い特別教育
    ・酸素欠乏危険場所作業特別教育

    年少者の就業制限

    労働基準法では、児童の健康及び福祉の確保等の観点から、原則として満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの児童を労働者として使用することを禁止しています。 また、満18歳未満の年少者についても、同様の観点から、その就業に様々な制限を設けて保護を図っています。

    年齢による就業制限

    ・満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで(中学を卒業するまで)
    ・満18歳未満の深夜労働(22時~5時)
    ※交替制によって使用する満16歳以上の男性を除く
    ※満18歳未満の従業員は、戸籍証明書の事業場へ備え付けが必要

    電気工事・電気通信工事における年少者の就業制限

    ・グレーン、デリック、動力駆動の土木建設機械の運転
    ・玉掛け業務
    ・足場の組み立て、解体業務
    深さ5m以上の地穴での業務
    高さ5m以上の危険な場所での業務
    交流300Vを超える電圧の点検業務